第18号 平成14年7月26日 3/4頁

 
 どうやってこのような問題をひとつひとつクリアしていったか現在振りかえって考えたとき、「機運」というものがこの頃からじわじわと沸き起こってきたとしか考えられません。
 まず、「筋道」問題についてです。元来学校側から要請があったことに加えて、2月に教育委員会が「ボランティアによる補修作業を行うなら、ペンキや刷毛などは現物供与する」と言ってきました。これには背中を押されたような気持ちになりました。これによって「資金」問題の一部と「筋道」問題が解決したからです。さらに、3月下旬から4月上旬にかけて、市内にあるほかの公立小中学校に出掛け、プールの状態を調べました。

<<問題山積み>>

 唖然としました。大久保小のプールよりひどいところがいくつもあったのです。プールの補修を待ち望んでいるのは大久保小だけではないことが分りました。ですから、たとえ補修工事の予算がついたとしても1校ずつ順番に補修していくことになりそうだ、大久保小の順番が1番とも限らない、という気がしました。

古いペンキ
  剥がれかけた古いペンキ

割れた飛び込み台 

 いつになるか分らない行政による補修工事を待っていられなくなりました。このままでは毎年120名の子どもたちが、汚いプールしか知らずに卒業していってしまうのです。こうなったら、保護者、教職員、児童すべてにボランティアを呼びかけ、自分たちの手でプール補修やってみようじゃないか、そんな気持ちが固まりはじめました。そして、補修の可能性をさらに深くさぐりはじめました。

 しかし、残りの諸問題はどれもが互いに密接に関連しており、奇跡が起こらねば解決しないような問題ばかりでした。無理をして大怪我をしたり事故が発生することも考えられます。たとえば「技術」のことでいくつかの専門業者に問い合わせるとこんな回答があり驚いたことを思い出します。
 「剥がれずに残っている古いペンキの上から新しいペンキを塗っても、すぐに剥がれてしまうから、我々業者がプールのペンキ塗り替えを行う場合、古いペンキを強い薬品で溶かし落としてから行う」
 これは我々には完全に不可能な作業です。反対に、薬品を使わないのであれば、手作業でヘラやヤスリを使って古いペンキを剥がすしかない。この場合の作業は途方もなく手間と労力がかかることが容易に想像できました。これによって「人手」の問題はさらに大きくふくらんだことになります。大勢のかたに協力を呼びかけても、果たしてどのくらいの人数が協力してくれるのか、全く予想がつきませんでした。もし集まらなければ、結局専門業者にやってもらうしかありません。おやじの会の常連メンバーだけでは1日あたり20名がやっとです。奇跡が起こることを祈りつつ、作業協力の呼びかけ方に知恵をしぼることになりました。

 「時間」の問題もあります。タイムリミットは5月末。プール開きの6月20日から逆算しました。また、ペンキ塗りという作業は、当然のことながら、雨天には出来ません。しかも、調合したペンキを無駄なく塗るには連続した5〜6日間の日程を組み、その間に一気にやり終える必要があることが判りました。とすれば作業日程は4月28日からのゴールデンウィークしかありません。果たして行楽シーズンに人がボランティアをしに来てきれるのかどうかという不安もありましたが、この時期を逃すわけにはいきませんでした。

 「資金」問題について。材料費の部分は教育委員会からの現物供与でクリアしたものの、それ以外の費用もかかることが予想されました。たとえば、作業の全てが人の手作業だとゴールデンウィーク中に終わらない恐れがあったので、作業の一部にペンキ剥がし用のレンタル工具を導入することにしました。また、万が一、作業協力者が少なかった場合は、専門業者に工事の一部を発注することも考えのなかに入れておきました。となれば、資金額は作業協力者の人数に左右されます。人数が多ければ、少ない資金でOK。もし人数が少なければ、数十万円もの出費を覚悟せねばならない…。 このような、金額の不確かな、しかも最悪の場合は数十万円以上の金額が必要となるかもしれない事業のためにどこから資金をかきあつめるのか。資金の確保には非常に頭を悩ませました。その頃のおやじの会には自己資金として17万円程度しか残っていませんでした。

 やはり、資金のこともそうですが、この補修事業は、大久保小に関わる者全員が一致団結しておこなってこそ意味があると思いました。プリントを児童の全家庭に配布し、プールの現状や市の財政のことを伝え、補修作業ボランティアとPTA予備費からの拠出を訴えました。PTAの資金を使うことで、補修事業を全ての保護者と教職員による正式な事業として位置づけることができるからです。しかし、PTA総会で、こんなイレギュラーな出費について同意を得られるのか最後まで不安でした。金額が不確定な上、本来なら行政がすべき事業です。こんな予算動議の提出は大久保小PTA史上初めてのことのはず。しかも、作業の期日が目前に迫っており、すべてがこのPTA総会にかかっているといっても過言ではありませんでした。
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